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投稿者:yuma 投稿日:2001年05月12日 (土) 14時35分


――白き悪魔・・・・・・か。
僕は目の前にいる『それ』を見ながら苦笑した。
それは僕には「白き悪魔」というより
聳え立つ崖のように見えたからなのかもしれない。
実際、ホントはそんな事考えている暇も無いはずなのだが・・・・
それでも、僕はそんな事を考えていた。
来週の莱霞との登山は中止かもしれないな・・・・・・・と。


――ブシュ
鈍い音を立てて空を飛んでいたASIMOが
悲鳴を上げる暇すらなく蒸発する。
先行者は巧妙に大日本帝国軍のロボットを盾に使い
右へ左へと逃げていた。
ちょこまかと動く『それ』を見つめながら三佐は苦笑した。
――あの間抜け面・・・・本当に強かったのだな。
  だが・・・こちらも日本軍の面子がかかっているのでな。
ちょうどそのとき低空ミサイルがAIBOの一体を打ち砕いた。
――ちっ・・・・・・オートといえど
  自軍の機体を打つ事になるとはな・・・・・。
「指令本部へ 私のT−5以外全ての機体をひかせろ」
『なっ!?無茶です!!三佐!!正気ですか!?』
オペレーターが動揺しているのがマイク越しからでも良くわかった。
だが、ここの戦場で『あれ』に勝つ確率は低かった
ここはやはり三佐自身の独断と偏見で『負けてしまった』
という方が、士気は下がるかもしれないが
先行者への恐怖につながるよりはましである。
三佐はそう判断した。
『目障りだ。
 とっとと退避させないと自動であろうと手動であろうと
 全て打ち抜くぞ。』

そして、21世紀初頭。
歴史に残る戦いが始まる。

 


ひとこと読書感想文

シルチョフ兄弟社 … T5側からのSS。三佐の大人っぽいつぶやきが好きだったので転載。


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