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投稿者:尾岸 元 投稿日:2001年05月13日 (日) 23時08分

「ほう、これが例のテムザック4改か」
 ハンガーに格納されたスカイブルーの機体を見上げながら、川村三佐は責任者の技術将校に声をかけた。
「はい。ジェネレータ出力を従来機の35%までアップさせ、T−5にほぼ匹敵する性能を持たせることに成功しました」
 責任者はカタログを見ながら答える。巨大な機動兵器の周りでは、何人もの技術者が走り回り、整備や性能のチェックに余念がない。
「扱いやすそうな機体だな。俺のT−5とは大違いだ」
 パイロットらしい川村三佐の感想だ。
「確かに、T−5は気難しいですからね」
 どちらからともなく笑いが起こる。
「ところで、パイロットは決まってるのか?」
「それが…、まだなんです。一応、候補は何人か選定してるのですが…」
 技術将校はばつが悪そうにうつむいてしまった。
「私が乗ります!!」
 突然、彼らの背後から声がかかった。川村三佐が振り向くと、一人の女性パイロットが駆け寄ってきた。
「藤田一曹!」
「私を、このテムザック4改に乗せてください!」
 藤田一曹は、川村三佐に詰め寄った。
「だがなぁ…」
「覚悟ならできてます!あいつに、先行者に勝ちたいんです!!」
 藤田一曹は勢いよく頭を下げた。しばらく沈黙が流れる。
「…なめてもらっては困る。お前は確かにウチの軍隊の中では優秀な方だ。だが…」
 川村三佐は、藤田一曹の隣を通りぬけた。
「…明朝0700時に、このハンガーに来い」
「え?」
 思わず顔をあげ、川村三佐の背中を見る藤田一曹。川村三佐は振り向かずに意外な言葉を吐いた。
「テストをする。俺に模擬戦で勝てたら考えてやってもいい。機体の性能が互角なら、後はパイロットの腕ですべてが決まる。…言っておくが、手加減をするつもりはないからな」
 そのまま、川村三佐はハンガーを出ていった。藤田一曹は、その背中が見えなくなるまで、敬礼をしつづけた…。

 いかがでしょう?中国側にリーファちゃんというアイドルがいるなら、日本側にもきれいドコロの一人くらいいてもバチはあたらないような気がしたのですが(笑)。藤田一曹の年齢および外見は皆様の想像にまかせます。


ひとこと読書感想文

シルチョフ兄弟社 … どこも軍の上司ってのはこんなやつばっかり。好きだ。(笑)

凡人 … 川村三佐カックイイ。


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