先行者外伝2『第二次世界大戦編』  大都了

 

 負傷者の収容 テントの張り直し 各部点検………それらが終わった時は 既に日付が変わっていた。
「すまないな。助けたもらった上に雑用まで押しつけて」
 他よりやや広いテントの中 サングラスを掛けている奴が礼を言っている。内容だけは礼だが 声からはそれが感じられない気がする。
「いえ 自分たちは当然の事をしたまでですから 中尉殿が気にする必要はありませんよ。それに……こいつなんかは嫌な事は絶対にしませんからね」
 ヘイが 勝手に人を引き合いに出しながら中尉 確かワンとかいった と話してる。自分は話すのが得意ではないから 友好な関係を保ちたい相手には ヘイが話す。
「そう言ってもらえると有り難い。ところで 君がさっき先行者を動かしたのか?」
 と こっちを指す。
「ああ そうだ」
 隠す必要も無いし 何よりさっきの戦闘中に名乗っているから正直に話す。まあ この中尉が 日本語で話していたあれを聞き取れたかは知らないが
「どこかで操縦法をならったのか?」
「習える場所なんてあるのか?」
 条件反射で返す。もしかしたら失言だったかも知れないが ヘイが困るだけだからどうでも良い。
「確かに……あれの操縦法を習える所はないな。少なくとも中華には」
 どうやら 日本からのスパイじゃあないかと疑っているようだ。
「日本で習ったんなら 今ここに居ないと思うが?」
「まぁ……それもそうか」
 ふと横を見ると 話に付いていけてないヘイがキョトンとしていて ウォンとフェイがハラハラしている。別に変な事を言ったつもりは無いのだが 自分の感覚は他人からずれているから 本当に言ってないかは自信が無い。
「こっちからも良いか?」
「なんだ?」
「あの機体の事だ」
 サングラスで表情は良く覗えないが 強張るのが判る。
「あれはASIMOなどをベースに作ったんじゃあなくて 設計から全く新しい機動兵器として作られてるな?」
「何故そう思う?」
 基本的な質問だ。
「性能の差だ。あの――山岡とかいう奴 あれの一撃を止めれたのは性能が良かったからだ。こっちが乗ってたのが ASIMOだったら止めれなかった」
「………」
 沈黙する。こっちの事を信用はしてるが どれほどか掴み切れてないのだろう。このワンとかいう奴 指揮官としてはまあまかも知れない。……もっとも こんなに簡単に心の内が読めるようでは まだまだともいえる。
「ついでに言うと 山岡とかいう奴はかなりの腕前だ。あいつは自分の機体の性能を理解していたし 何より機動兵器での戦い方を熟知していた。あいつはもう一度来るな。あそこで引いたのも 戦力を消耗するのを嫌ったんだろう」
「なあ……」
 ヘイが 不思議そうに聞いてくる。
「なんだ?」
「いや どうでもいい事なんだが 機動兵器の戦い方って普通の人の戦い方と違うのか?そんなに大差が在る様には見えないんだが……」
 まあ もっともな質問だ。 機動兵器は人の形こそしてるが 戦い方になると少し話が変わる。それを知らない奴が見ても 差は判らないだろう。
「そうだな。あのビームサーベルだが あれの使い方から違ってくるからな。普通 剣はその重量と摩擦で物を切っているが あれは違うんだ」
「違うって?」
「あれは荷電粒子の塊……って言っても判らないか……そうだな 電気の集まりと思っといてくれ。それが物質に触れた時の熱で断ち切っているんだ。ここまではわかるな?」
 ヘイが頷く。見ると ワンも説明を聞いているようだ。
「剣を振るのは 勢いを付けて重量を増やすためのは知ってるな?荷電粒子を固定した 半固体物質と呼ばれているそれは 質量をほとんど持たないんだ。つまりは 振りまわしても紙を丸めた棒を振りまわしてるのと同じなんだ。その為に熱で切っているんだが 熱で切る以上は 振り回しても意味はない。それに質量がないから当たっても無駄。これはわかったな?」
 訳が判らなくなってきたのか 少し考えてから頷く。
「つまり ビームサーベルを最も有効に使うのは 少ない動きで相手の急所を狙う。これで良いんだ。摩擦を起こす必要も無いから 動きは本当に最小限になる。まあ……特殊な戦闘方をやる場合は別だけどな」
 聞かなかったが 見れば判る。もう既に 何がなんだか判らなくなっているのは明らかだった。
「まあ ビームサーベルの使い方が これまでのどの武器とも違うってのが簡単な言い方なんだけどな」
「判った……たぶん」
 頭の中がどうなっているかは知らないが オーバーヒートしている様だ。
「お前は……どうしてそんな事を知っているんだ?」
「学んだから決まっているだろ」
 また条件反射で返してしまう。
「学んだ?」
「そう 本で知識を得て それを応用できる知能が在れば 誰でもこの程度の結論は出せる。」
「………」
 また沈黙する。余程評価に困っているのだろう。このままイジメてやりたい気もするが 今はそんな場合じゃあない。
「それは置いといて 今日はもう寝て 明日里に行こう。負傷者の事もあるし なによりさっきの部隊の事が気になる。ヘイ 文句は無いな?」
「ああ 確かにそうだな。里ならそう簡単には見つからないし 見つかっても移せば良いだけだ。ウォン フェイ 良いな?」
「はい 僕は別に」
「俺も良いぞ」
 それぞれ応える。そこでワンに視線が集まる。ワンは何か考えていたようだが すぐに返してくる。
「ああ 怪我人の事は俺も気になっていた。そうしてくれると助かる。」
◆ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「なんか大変な事になっちゃったね」
「そうだな。まあ……助けに向かった時からある程度覚悟してたけどな」
 村の広場で 忙しく動いている里の者+中華兵士を眺めながらミンレイと話す。
「皆忙しそうだね」
「そうだな」
 返す必要も無いかと思ったが 一応返しておく。何となく 声が暗い気がする。
「元気が無いな」
「え?」
 上の空だったのか 聞き返してくる。ミンレイにしては珍しい事だ。
「お前の元気が無いって言ったんだ。……どうかしたのか?」
「え……あっうん……」
 下を向くミンレイ。どうしたのか 本当に元気が無い。
「どうしたんだ?」
 その言葉に 彼女は顔を上げ 聞き逃しそうな小さな声で言う。
「シャンの誕生日のお祝い……したら 不謹慎だよね?」
 思考が止まる。すぐに元に戻ったが そう言えばそんな事を言ってたのを すっかり忘れていた。たまに彼女には驚かされる。全く その答えが来るのを予想してなかった。何で他人の誕生日ぐらいで ここまで落ちこめるのだろうか?自分にはわからない。
「別にしても言いと思うが」
 正直な感想を述べておく。ミンレイはまだ納得してないのか 食い下がってくる。
「でも!他の人が一生懸命働いてるのに………」
「自分の仕事さえ終わらせれば 後は個人の勝手だ。度が過ぎると何だが 誕生日ぐらい良いんじゃないか?お前にめそめそされる方が余程迷惑だと思うぞ」
 言葉を飾らず 思った事をそのまま言う。見ず知らずの人に言うと仲違いをするが 大丈夫だろう。
「じゃあ……する?」
「俺はどっちでも良い」
 彼女の表情が一転する。どうも 自分の『どっちでも良い』は肯定の意味と取られているようだ。別に否定でもないが 何時か正しておいた方が良いかもしれない。
 ミンレイが跳ねながら彼女の家に向かっている。多分あそこに準備がしてあるのだろう。誕生日といっても 本当の誕生日ではないが それでも誰かに祝ってもらえるのは 普通じゃない考え方をする自分でも嬉しいものらしい。少し感情が高ぶるのを感じながら 彼女の後を追う………
◆ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 誰の趣味かは知らないが 嫌悪感を覚える装飾の部屋 泣く子は黙るが生意気な訓練生は黙らせられない そんな異名を持つ男――無論悪口だ――大原大佐が自分の前に立っている。
「ふむ……ではあの情報は本当だったか………」
「大佐 追撃命令を下さい」
 上司としては良いが 司令官としては中の上程度のこの男 こちらから要請しないと追撃命令など出さないだろう。
「しかし……荒本君の機体は無いのだよ?2人でその――先行者とやらを止めれるのかい?出来れば戦力は消耗したくないんだが……それとも 何か奇策があるのか?山岡特佐」
 訂正 司令官としては3流だ。本当に報告書を読んだのだろうか?あれほどの性能を持つ機体 早めに潰しておいて損はない。ASIMOの一体や二体が落ちても 倒せれば釣が来る。こういう小心な上に無能な奴が 大佐なんてやっているから帝国は追い込まれたのだ。
「あります。もっとも 奇策というほどのものでもありませんが」
「ほう それは何かね?」
 脊髄反射でも聞けるような質問だ。
「SDR−3Xを使います」
「馬鹿な!!」
 どっちが馬鹿だ。と言い返したくなる衝動を必死に押さえる。
「あれは試作機だぞ!!正気か!?第一許可が降りるはずも無いだろう!!」
「許可など要りません」
 どちらかと言うと この男の方が正気じゃあ無さそうだ。
「あれは私に与えられている機体です。許可は必要ありません」
「しかし――!!」
 どうやら自分の立場がわかっていないようだ。思い知らせてやる為に 少し気合を入れて睨んでやる。
「!!」
 男の体が一度震え すぐに動かなく――動けなくなる。
「大佐 特佐の階級は 戦闘に関しては大佐より上です。それ用の特権も持っています。おわかりですね?もう一度だけ言います。追撃命令を御出しください」
 呼吸もままならないのか 顔を真っ赤にしながら頷く。声は出ないようなので これで十分だろう。戸の前まで歩き ふと気付いて 振りかえる。
「では 大原大佐 自分は先行者の追撃に行って参ります」
 まだ呼吸が出来て無いようだが 自分が部屋から出て暫くしたら直るだろう。そう判断して 部屋から出る。そこには 荒本中尉と宮原一等兵が立っていた。
「両名とも 今から自分の指揮下に入る。荒本中尉は自分のASIMOに乗ってくれ。自分はSDR−3Xに乗る」
 二人が敬礼する。それを見てから 格納庫へと急ぐ。あの部隊が遠くに行く前に何とかしたい。
「シャンとかいったな。あのパイロット――!!」
 静かに 大きく言う。自分の剣を初めて止めた奴 何故かは知らない。だが 内側から何かが熱く燃えているのを感じた。
◆ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 並ぶ料理の数々 一体何時用意したのか 豪華とは言えないが ここでの暮らしからいったら十二分に豪華な食事が並ぶ。
「凄いな……」
 何が とは言わない。というより的が絞れない。
「そうでしょう!」
 誉められて――誉め言葉かは知らないが――嬉しいのか 声をトーンを上げて応えてくる。かなり気合が入っているようだ。
「昨日から準備してたんだから!」
 確か自分の誕生日は昨日だった気がする。昨日祝えたらどうするつもりだったのだろうか?まあ ミンレイの事だからまた何か考えたんだろうが。
「おや?御客さんかい?」
 家の奥から 老人の声がする。
「あ!おばあちゃん!」
 またミンレイが声を張り上げる。疲れないのだろうか?
「おばあちゃんも食べる?」
 奥から 90過ぎの『まさに御老体!!』と言った感じの老人が出てくる。ミンレイには祖母しか身寄りが無いとは聞いていたが この人がそれなのだろう。
「じゃあ頂こうかね」
 そう言って 自分と向かい合うようにして座る。挨拶をするべきか暫し迷って 初対面と言う事でする事にした。
「初めまして」
「おや こちらこそ初めまして ミンレイの祖母です」
 膝が悪いのか 崩して座っている。
「ミンレイの友人です」
 彼女はどう思っているかは知らないが 自分の中での価値観で答えておく。彼女の方を見ると 忙しそうに走り回っている。それはもう暫く続きそうだ。

「ふう 食べたな」
 夜空の下 誰に言った訳でもないが呟く。ミンレイの誕生祝とやらが やっと終わった所だ。これからどうするかを考え――あのワンの所に行く事にする。今日の作業についてと あの機体の事で聞いておきたい事がある。
 中尉達がテントを張っている所に向かって歩く。そこまで後50メートルほどになったとき 背筋に悪寒が走る。その直後 森から動物達のざわめきが聞こえてきて それがだんだん近付いてくる。
「まさか――もう来たか!?」
 テントの方に走る。あそこには先行者がある。ASIMOなら同時に3・4体相手に出来るだろう。
 ざわめきが近付いてくる事で 他の里の民異変に気付いたようだ。自分は後少しで中尉たちのテントに着く。
「おい!!どうした!?」
 ワンの声が響く。どんな声帯をしてるかは知らないが 常人の数倍はある声だ。
「敵襲だ!先行者を借りるぞ!」
 試しに声を限界まで大きくして言ってみるが ワンの3分の2といった所だ。ワンは敵襲と言う言葉に反応して 兵士たちが寝ているテントの方に走っている。あの大声で叩き起される兵士たちに少し同情するが そんな事に構っている場合ではない。
 ようやく機動兵器の輸送用のトラックに着く。荷台に乗りこみ コクピットへと走る。
「こいつとは長い付き合いになりそうだな……」
 乗り込む前に呟く。自分の勘は大体当たる。嫌なものも そうでないものも外れた覚えはあまりない。もっとも その『覚え』も沢山あるのではないが
 乗りこみ シートに座り ボードを叩く。様々な機器が音を立て光を発する。
「行くぞ……!!」
 トラックを包んでいる布を破り ゆっくりと先行者が立ち上がる。里の中で戦闘を行なうのは得策ではないが この際仕方がない。画面の端に ワンとヘイが里の皆を避難させているのが映る。ある程度気を付ければ 戦闘をするのには差し障りは無さそうだ。
 二体のASIMOが森から出てくる。昨日逃がした奴だろう。
「先行者よ!ここで貴様を沈めてやる!!」
 えらその声が響く。
「特佐が手を下すまでも無い!」
 もう一体のASIMOから 知らない奴の声がする。どうやら山岡はいないようだ。
 ASIMOがサーベルを抜き 先行者に支点を置いて広がる。二体同時攻撃を狙っているのか じわじわと間合いも詰めている。だが 先行者にそれを待っている理由は無かった。先行者の右手が赤く光り――次の瞬間 えらその機体との間合いを一気に詰めていた。
「くそ!!」
 ASIMOのサーベルが振り落とされる。
「甘い!!」
 先行者の右手が ASIMOのサーベルを払う。
「!?」
「無駄な動きが多過ぎるんだよ!!」
 サーベルが払われ 隙が出来た部分に先行者の右手が刺さる。そしてそれを横に薙ぎ 機体の胸の部分を大きく裂いた。
「次に会うまでに もっと修行を積みな!」
「――!!」
 ASIMOの頭部から コクピットが排出される。それを見届けてから もう一体に意識を移す。それは ちょうどサーベルを振り上げ 襲いかかってくる所だった。
「死ねえぇぇぇ!!」
 サーベルが振り落とされた。だが 既にそこに先行者の姿は無かった。
「遅い!!」
 先行者の右手がASIMOの肩を薙ごうとするが それは一瞬の差でサーベルに止められた。
「くうぅぅ」
 不自然な姿勢で受け止めたからか ASIMOのパワーが出切ってない。先行者の右手に押されている。『このままではマズイ』そう思って次の手を考えようとした瞬間 先行者が右手を引いた。
「――!?」
 力を入れていた物が無くなり ASIMOが前のめりになる。
 先行者が身を翻し 回転してまた薙いだ。それを止める手段は そのASIMOには無かった。
 ASIMOの肩から胴に掛けて 大きく裂ける。また コクピットが排出される。
「まだだ――何所かにいる……あいつは……」
 奇襲を恐れ 広場の真中に行く。そこまで行き 森の方に振り返った。刹那――ASIMOを一回り小さくしたような機体が 森から飛び出てくる。
「!?」
 ASIMOのそれより短いサーベルが 先行者を襲う。それをなんとか受け止め 鍔迫り合いのような形に持って行く。
「シャン!!」
「山岡か!!」
 山岡のそれが身を引き 間合いを開く。
「このSDR−3Xで沈めてやる!!」
 そう叫び 一気に間合いを詰めてくる。それ――SDR−3Xは 機敏性では先行者を上回っている。
「くっ……!!」
 それが繰り出してくるサーベルを受けながら どんどん下がっていく。このままでは 崖を背にすることになる。
「くそ!!」
 その前にそいつの斬撃の間合いから出ようとして 大きく後ろに跳ぼうとする。が
『違う』
 頭の中に 自分のものとは違うそれが浮かぶ。体が震え 有り得ない事だが 自分の背中が見えた。既に 体が自分のものでは無くなっていた。
『後ろに跳んでも またすぐに間合いを詰められる。ならば――!!』
 先行者が 斬撃と斬撃の合間を掴み SDR−3Xとの間合いを更に詰める。
「なに!?」
 先行者の肩をそれの胸に付け――一気に弾き飛ばす。
「ぐわ!!」
 SDR−3Xが空中で体制を整え着地する。瞬時 先行者の右手がそれを襲う。なんとかそれを受け流したと思ったが 今度は左手が頭部を横殴りにする。
「!?」
 SDR−3Xが 地に叩きつけられる。それに向かって右手が伸びる――!!
(やめろ!!)
 先行者の右手が止まる。
(殺しても意味は無い!!)
 必死に 自分の体を止める為に その体を掴む。その時 自分と目が合った。別にそれは 冷たい目はしてなかった。ただ 何も感じていない 何も思わない 人形の目であるだけだった。それを見た瞬間 体に意識が戻っていた。
「今のは……」
 呆然としていると SDR−3Xが何時の間にか立ち上がっていて こちらに背を向けて逃げていた。
 何からしたら良いのか 全く判らずに竦んでいた。その時 画面の端に見なれた姿が映った。
「ミンレイ……?」
 それを見て 先行者の身を屈ませて降りる。
「おばあちゃん!!」
 その言葉の意味することを 瞬時に理解し 駆ける。見ると 家が倒壊している。
「ミンレイ!!」
 叫ぶと 彼女がこちらを向いた。
「シャン!!おばあちゃんが……おばあちゃんが!!」
 倒壊した家の中にいるのだろう。その瓦礫の上に立ち 大体の場所を探しながら言う。
「わかった。なんとかする!」
 瓦礫が動くのを感じ そっちに走る。そこでは ミンレイの祖母が上半身を瓦礫の山から覗かせていた。
「ミンレイ!こっちだ!」
 その言葉に ミンレイが走ってくる。その間に瓦礫の重なり方を視察するが かなりややこしい。
「無駄じゃよ。ここから出ても そう長くは生きられない」
 弱弱しく 老婆が呟く。
「おばあちゃん!!」
 ミンレイが老婆に駆け寄る。
「ミンレイ 色々と世話になったの」
 老婆は 笑っていた。悲しみ泣いている孫の頬を 笑いながら撫でていた。
「そんな――!!」
「ミンレイ お前には本当に済まんかったと思ってる」
 ミンレイの言う事を遮り 老婆が語る。
「お前は今までの人生のほとんどを私の為に使ってきた。それをこれからは自分の為に使いなさい」
「おばあちゃん!!」
 ミンレイが更に何か言おうとするが それを手で遮る。
「シャン……?」
 老婆の目が こっちに移った。
「そうかい お前さんはシャンというのかい。上 いい名だねェ」
「………」
 ただ 黙するしかなかった。老婆は 淡々と語る。
「お前さんに この子のこと頼んでも良いかい?この子は まだ弱い」
 頷く。それに 老婆は嬉しそうに笑った。
「良かった……よろしく頼むよ………」
 そう言って 老婆は目を閉じた。
「おばあちゃん!!」
 ミンレイが 老婆の亡骸にしがみつく。自分は 身を翻して走っていた。
 広場を抜け 森を駆け ただ 走っていた。足がもつれ こける。
「うおおおおおおおおおおお!!」
 天に向き 吠えた。そして地を殴った。何度も 何度も 拳が割れ 血が出るまで殴りつづけた。
「くっそおおおおおおおお!!」
 もう一度 天に吠えた。
 何がどうという訳ではなく ただ 悔しかった。
 自分の弱さが
 何も護れない自分が
 自らの無力さが
 そして何より――嘆いている少女に 掛ける言葉が見つからなかった自分が
 悔しかった。
 強くなりたいと思ったのも 初めてだった。
 強くなれば 誰も泣かなくて良くなるぐらい 強くなければ 
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 ただ吠えつづけた。夜空に―――

 後書き(?)
大:はあ……やっと書き終わった………
上:まあ かなりハイペースで書いてたな
大:ネタ集めに時間が掛ったからな
上:ええと ここでは何を言えば良いんだ?
大:さあ?
上:………
大:いや ただの思いつきで書いてるんだし そんなに大層なことを求められても困るぞ
上:まあ お前だしな
大:そうだな
上:いや そこで同意されても困るんだが……
大:なんでだ?
上:会話が続かんだろうが
大:自分は会話が苦手なんだ
上:………そんな奴が小説書くなよ………
大:別に会話が苦手でも書いて良いと思うが
上:こんな後書きはやめろ
大:まあ 確かにこの形式だとこの二人でやるのは辛いな 次からは誰か呼ぶか
上:そうしろ……本当に……
大:という訳で 今回はここで終わる
上:このまま続けてもオチがないからなぁ……
    ―――閉幕―――


ひとこと読書感想文

もじ:中華キャノンを次回あたりで撃ってほしい。
ジャヴァウォック:中華キャノン欲しい・・・


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