めくらみみうさぎの対話

 

あいを、ひとつあげる。

いっこだけ?


 

 

ひとつしかないもの。

 

 

 

じゃ、もっとおおきなのほしい。

 

 

これ、こうみえておおきい。

 

 

 

あれよりおおきいの?

 

 

 

もう、くらべようもないぐらい。

 

 

たいへん、どこにおこうかしら。

 

 

あいはかさばらないよ。

 

 

あまり、おもたくないのがいいわ。

 

 

 

いっておくけど、このあいはただだよ。

 

 

わたし、あいってただだからすき。

 

 

 

きみのことであたまがいっぱい。

 

 

おかねでいうとなんえんぶんぐらい?



おかねでさいふいっぱいみたいなきぶんする。

 

 

あいはごはんよりえらいの?

 

 

びすけっとでぽけっといっぱいみたいなきぶんだから。

 

 

 

でもわたし、あいあげないわ。

 

 

あいくれないだろうね。

 

 

それでも、いい?

 

 

それでいい。

 

 

 

なんでもする?

 

 

なんでもする。

 

 

 

じゃあ、みみについてるそれきって。

 

 

 

みみについてるのみみだよ。

 

 

 

だから、みみきってそれくれるして。

 

 

 

でも、そんなにたくさんみみいらない。

 

 

 

たくさんみみあると、ふわふわとべるきするもの。

 

 

 

とべるきしたいの?

 

したいわ。

 

 

 

 

・・・えい!

 

 

ありがとう、うれしい。

 

 

 

きみのこえがしないよ。

 

 

 

こえ、きくみみなくなったのね。

 

 

 

とべたらどこいくの?

 

 

 

どこもいかない。とびたいだけ。

 

 

 

きこえないけど、そこにいけるといいね。

 

 

 

そしたら、もうあいいらないの。

 

 

 

あいしてる。

 

 

みみをありがとう。

 

 

 

あいしてる。

 

 

このみみ、とてもきもちいい。

 

 

 

あいしてる、いつまでも。

 

 

 

ふわふわしてるわ。

 

 イラスト…梅丘四〇六 

>>Index

Copyrights 2000,Silchov Musaborizky