人魚のくれた色
砂漠に白の街。
酷暑の砂漠でたえまなく乾きつづけて
遠くからやってきた魚が
ももむらさき色に朽ちゆく空の
すみっこに残ったひとすくいの絵の具を
窓ガラスからスプーンで削りとって
白いベットカバーを染めて眠った。
人のゆめと魚のたましいが
毛糸のように絡まり、ほどけ、朝の光に藻屑となって
青い扉がひらく頃には
波打つ砂丘は海になる。
その海の底の地下室の床上3メートルぐらいに浮かべた
模型の飛行船で遊んでる神様に出会った時、藻屑は人魚になった。
カフェでヒトデのモーニングセットを食べて
海底でぐるぐるしてるちょうちん鮟鱇をからかって遊ぶ。
大陸棚に寝そべって
返事欲しさに漁船からばらまかれる愛の言葉が
砂に沈んで消えていくのを物珍しげに眺める。
水面でトビウオが胸びれをたたきつける波紋が
光の輪になって降り注げば
似合いもしない光の輪をつまんで
頭上につけてはころがって笑い
水面に天使の羽音が聞こえれば
その美しさを讃えて歌い
誘われてきたカラフルな魚たちをごくり飲み込む。
ちゃんと好き嫌いなく食べて鱗を虹色に輝かせて
ティータイムには南国の小島にあがって
鱗をつやつやにする酵素たっぷりの甘い果物をひとかじり。
七色の香気を胸から吐きだす。
赤い色とは赤い香りに赤い蝶が集まってそこに生まれた状態だ。
人魚の吐息に舞う蝶の鱗粉を天上の光が照らして
地上の瞳に映るのは、彩りの世界。
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