子供の戦争

 

いつだって音もたてずに戦争をしていた。
歩哨の歩き回る小路小路では
女達が薄着で兵士を挑発した。
全ての道の標識は取り払われて
人々は記憶の中を歩いた。
夕暮れに迷った兵士が宿舎を探していた。
太股に葡萄酒の瓶を挟んだまま
浮浪者が凍えて死んでいた。
食卓に野菜くずのスープ。
節約された灯火、そして溜息。
言葉は妊娠を隠して締めすぎた
コルセットの下から産まれた奇形児のよう。
子供服は鋏を入れて軍服に裁縫され
軍人が死ぬと軍服は新しく産まれた子供の服に直された。
胃袋のからっぽの子供達は
銃弾の形に穴の空いた緑色の服で跳び回り
次々にキャベツ畑の地雷を踏んで闇夜に死んでいった。
吹き飛んでは鉄条網にぶら下がる
子供の形に朝日は影を落とした。

 

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